見つからないコトバ


布団に入ると色々なことを考える。寝ようと思って布団に入ったはずなのに。恋愛に夢中だったときは、相手のことを考えてた。バンドに夢中なときは、布団に入ってからメロディがパッと閃いた。とにかく色々考えてしまうのだ。

友達がまた入院した。急性白血病…もう結構前に発病して、学校も辞めてしまった。最近は病状が落ち着いたとのことで退院していたのだが、今日再度入院。学校の友達で集まるIRCに、彼はいつもいた。初めて病気の話を聞いたのもIRCでのこと。正直信じられなかったし、かける言葉も見つからなかった。今まで自分の周りにそういうことがなかったけど、なにか気の利いた言葉の一つや二つ、言える人間だと思っていた。とんだ傲慢だった。やり場のない怒りと無力感。きっと本人や家族は、俺が感じたものとは比較にならない辛さを味わっているんだと思うと、また辛くなる。白血病のことだって、知識なんか殆どありゃしない。しばらくは白血病に関するサイトを見て回ったりして、まずは知識を付けた。ていうか…他に何をすればいいのかわからなかった。とにかく知識さえあれば、薬のことや治療法のことで彼と話ができたから。

布団の中で俺は今日も考える。彼のために俺にできることってあるのかな。病室から、PHSとノートPCを使って彼は毎日IRCにくる。俺ができることといえば雑談の相手くらいか。どんなにくだらない話しでも、一人でぼーっとしているよりはましだろうから。頑張れ、なんて言えない。言われなくても頑張ってるに決まってる。「頑張れ」という言葉が、時として重荷になることがあるのも知っている。でも敢えて言おう。「頑張れ」。今の俺にできること、他に思いつかないよ。退院したら、また飲みに行こうか。